
サル痘の感染が国内で初確認されました。(2022.7.25)
そもそもサル痘とはなんですか?
症状や致死率なども気になります。
この疑問に答えていきます。

新型コロナウイルス感染症でさえまだ収まっていないのに、また新たな感染症が流行しないかどうか不安でたまりませんね。
日本国民は度重なる新型コロナウイルスの流行の影響もあり、基本的な感染対策(手洗いうがい・マスクなど)に関しては十分にできていると考えます。
しかしながら『サル痘』は若干感染経路が異なり、感染症法では4類感染症に指定されています。
本記事では、以下のことについて解説していきます。
- サル痘とはどんな感染症か
- サル痘の症状
- 各国のサル痘の事例
- サル痘の感染経路
- 予防法や治療法
この記事を読み、あらかじめ知識をつけておくことで、正しい感染対策を行うことができるようになります。

- 医療従事者(9年目、医療センターで勤務)
- ブロガー歴11か月(2021.10~)
- 放射線や感染症に興味があり勉強中
- 2022.4に新型コロナ感染・治癒
- 情報収集・精査が得意
- ブログ収益5桁達成
サル痘ウイルスは新型コロナウイルスと同様にエンベロープウイルスです。
アルコール消毒液が有効です。常備しておきましょう。

サル痘とは?

サル痘について、どんな病気なのか、症状はどんなものなのかを説明します。
サル痘の概要
- サル痘ウイルスが原因
- 急性発疹性疾患
- 4類感染症
- 自然宿主はわかっていない
- 多くは2~4週間で自然治癒
- 小児は重症化・死亡例あり
元来、アフリカ大陸で限定的に発生していたものであるが、2022年5月ごろから欧州やアメリカでも感染者が確認されました。
サル痘の名前の由来と歴史
サル痘は名前の通り「サル」である「カニクイザル」で最初に発見されたことから名づけられました。
1958年に最初に発見されましたが、サル痘ウイルスの自然宿主は「げっ歯類」であると考えられ、WHOは名称の変更も検討しているということです。
サル痘の人への感染の初確認は1970年、コンゴ共和国で起こりました。
アフリカ大陸でしばしば感染の広がりが起こり、ナイジェリアや西アフリカ、コンゴ共和国などでサル痘類似のウイルスが広がっています。
中央アフリカで見られるサル痘ウイルスは強毒型と言われ、重症化しやすく致死率は数%~10%程度もあると言われています。
サル痘にはいわゆる「弱毒型」と「強毒型」があり、西アフリカ由来は弱毒型、中央アフリカ由来は強毒型とされ、後者の方がたちが悪く致死率も高い傾向にあるようです。
サル痘の症状

サル痘ウイルスの潜伏期間は7~21日(平均12日)とされています。
新型コロナウイルス感染症は1~14日間(平均5日)であることに比べると比較的長い潜伏期間です。
主な症状には以下のものがあります。
- 発熱
- 発疹
- 発汗
- 頭痛
- 悪寒
- 咽頭痛
- リンパ節腫脹
発疹が特徴的で、水疱や膿疱へと進行する傾向にあり、重症化すると天然痘に似て区別ができないと言われています。
天然痘との区別は「リンパ節腫脹」が特徴的と言われています。
また、WHOによるとこれまでのサル痘とは少し異なる症状や実態がみられるようです。
WHOが2022年6月の緊急委員会にて出した資料によると、発疹が一部(肛門や性器周辺など)の限定的にみられるケースや、発疹だけがみられるケースが特徴だということです。
厚生労働省も言及していましたが、男性間の性的接触によりサル痘へ感染するケースがとても多いとWHOでは言われています。
なお、2022年7月6日時点で、アフリカ以外で重症化し入院された報告はありません。
サル痘の診断方法
新型コロナウイルス感染症では、抗原検査やPCR検査が主流でしたが、サル痘ではどうなのでしょうか。
サル痘の確定診断は病原診断によります。
具体的な検査は以下のようなものです。
- サル痘ウイルスの分離検出
- サル痘に対する抗体の検出
- 採取した皮膚病変の顕微鏡による観察
- PCR法やLAMP法
体にできた水疱や膿疱、血液などからサル痘ウイルスを分離して病原体を検出する必要があり、PCR法やLAMP法により遺伝子の検出が行われます。
強毒型と弱毒型の鑑別もできるため、上記2種類の検査方法が行われます。
各国のサル痘の事例
サル痘は2022年5月以降、ヨーロッパやアメリカにてサル痘の感染・感染疑いが報告されています。
2022年7月6日時点でのWHOの発表によると世界59ヵ国や地域で計6027例で確定診断が行われました。
アフリカ以外での死亡例はなく、その多くが若い男性間の性的接触を行う者の中に集中していることが指摘されています。
サル痘の感染経路

サル痘ウイルスは、基本的に感染した動物に咬まれたり、血液や皮膚、発疹部位に接触することで感染します。
問題なのは「ヒトからヒトへの感染」です。
国立感染症研究所によると、濃厚接触者の感染や、リネン類を介した医療従事者の感染の報告があります。
- 患者の飛沫
- 患者の体液
- 発疹部位
などを介した飛沫・接触感染があると考えられています。

これまでの調査で確認された患者は、『男性同士での性的接触』が行われた患者が多かったという報告もされています。
サル痘の予防法や治療法

ついに日本に入ってきてしまったサル痘。
感染しないために、どのように予防すればよいのか、また万が一感染してしまった場合の治療法について説明していきます。
サル痘を予防する方法
市中・家庭内感染対策
発疹や発熱など、サル痘かな?と思ったときは接触はできるだけ避け、マスクの着用と手指衛生を徹底してください。
使用した布団などのリネン類、衣類なども感染のリスクがあるため洗濯等は別にして行います。
特に手指からの感染リスクが高いので、手洗いは忘れずに行いましょう。

マスクや手指衛生の製品が品薄にならないといいですね。

医療機関等で発生が疑われる場合の対策
現時点(2022.7.26)では全国的に広まってはいませんが、今後の感染拡大状況次第では、各地に広がる恐れもあります。
万が一サル痘の確定診断があった場合は、飛沫・接触予防策を行う必要があります。
新型コロナウイルス感染症と同様に、エアロゾル感染がないとも言い切れないので医療従事者はN95マスクを着用して診療を行うなどの対策が推奨されます。
ワクチン等での対策
サル痘への予防効果で最も効果があるのが『天然痘ワクチン』です。
厚生労働省によると、天然痘ワクチンにより約85%の発症予防効果があるとされています。
効果が期待される一方で、日本では1976年以降天然痘ワクチンの接種は行われておらず、国内の備蓄量も多くはありません。
感染爆発が起こらなければいいですが、起こってしまった場合は新型コロナウイルス感染症と同様にワクチン接種問題が浮上してくる可能性があるので、政府や専門機関の情報を注視しておきましょう。
サル痘の治療法
サル痘の主な治療法は『対症療法』がメインで行われます。
対症療法とは?
病気に伴う症状を和らげたり、抑えるための治療方法。
ウイルスなどを根本的に叩くわけではなく、自然治癒能力を高めて病気を治していく方法。
シドフォビルという抗ウイルス薬の1つがサル痘への有効性が確認されていますが、日本国内での流通はありません。
米国や欧州では、一部認められているものもありますが現時点で日本国内に流通しているものはありません。
今後、治療薬として日本国内では臨床研究が進められており、臨床研究としての投与も視野に入れているようです。
用いられるのはアメリカの製薬会社が天然痘治療薬として開発した『テコビリマット』という経口の飲み薬です。

ヨーロッパではすでにサル痘の抗ウイルス薬として承認されています。
しかし、治療薬にも期待が集まる一方で薬の流通量は多くはならないと考えられています。
結局のところ対症療法がメインの対応となっていくことが予想されています。
サル痘対策として用意しておくべきもの【5選】

2022年7月25日、日本国内で初めてのサル痘感染が確認されました。
これを受けて、感染対策・予防のためにご家庭に用意しておいたほうが良いものをピックアップします。
接触感染対策用品
接触感染が感染経路の1つとなりうるため、使い捨てのビニール手袋などの個人防護具が役に立ちます。
①ビニール手袋
ビニール手袋は普段の掃除などにも活用できますので、常備しておくことをオススメします。
②プラスチックガウン

医療従事者であれば仕事中に着用する場面も出てくるかと思います。
家庭内においてもリネン類の取り扱いの際はプラスチックガウンを着用して対応することをオススメします。
ノロウイルス感染症にもプラスチックガウンが有効です。
③アルコール消毒液

サル痘ウイルスは新型コロナウイルスと同様にエンベロープウイルスと言い、アルコール消毒液が有効です。
アルコール消毒液はスプレータイプがオススメです。
多くのウイルスに対して有効なので、日々の掃除のおともとしても役立ちます。
職業柄か、私の家にも大量のアルコール消毒液があります。
飛沫・空気感染対策用品
サル痘は空気感染こそしないものの、飛沫による感染の報告はされています。
また、鑑別の際にも空気感染を起こす「水痘」や「麻疹」などとの区別が困難なため、それらが否定できない段階では空気感染対策も行う必要があります。
④N95マスク

N95マスクはサル痘だけでなく現在流行中の新型コロナウイルス感染症にも有効です。
私も職場で使う場面が多々あります。
外出の際など、日常的に使うには少々デザイン性、通気性の問題がありますのでN95マスクの使用は感染症患者と接触したり介助時の防護としての使用をオススメします。
⑤サージカルマスク

サージカルマスクは薬局やドラッグストア、スーパーなどにも売ってありますね。
新型コロナウイルス感染症が流行した影響もあり、ほとんどのご家庭に常備されていると思います。
マスクは基本的に1日あるいは半日に1回は取り換えることをオススメします。
まとめ&筆者からひとこと
サル痘に関して厚生労働省は以下のように述べています。
サル痘は、1970年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)でヒトでの初めの感染が確認された、オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによる感染症で、中央アフリカから西アフリカにかけて流行しています。国内では感染症法上の4類感染症に指定されています。
日本では感染症発生動向調査において、集計の開始された2003年以降、輸入例を含めサル痘患者の報告はありません。
2022年5月以降、従前のサル痘流行国への海外渡航歴のないサル痘患者が欧州、米国等で報告されています。
厚生労働省ホームページ
厚生労働省では、令和4年5月20日にサーベイランス強化のため、自治体や医療機関に対して、各国の状況や、サル痘の症状、感染経路等に関する情報提供を行いつつ、サル痘の疑い例があった場合には必要な報告を行うよう依頼するとともに、検疫所においては、出入国者に対する情報提供や注意喚起を行っています。
また、6月1日には、自治体や医療機関に対して、積極的疫学調査の取扱い等について事務連絡を発出しています。
2022年7月25日に日本国内で初めて感染が確認されました。
しかしながら、慌てる必要はないと筆者は考えます。
現段階でも最も必要なことは、情報の注視と情報の精査です。
正しい情報をいち早く手に入れるべく、日々のニュースや関係機関の発信する情報には注意しておきましょう。
また、現状は新型コロナウイルスもまだまだ収束の兆しが見えませんので、基本的な感染対策は忘れずにしていきましょうね。
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