抗原検査キットの販売が解禁!とニュースで見ましたが、すでに研究用の抗原検査キットは売ってありますよね?
医療用の抗原検査キットを今になって販売する理由がイマイチわからないし、研究用と医療用の違いもよくわかりません。
この疑問に答えていきます。
現在、抗原検査キットについては2種類存在します。
- 医療用(体外診断用医薬品)抗原検査キット
- 研究用抗原検査キット
現時点での大きな違いは以下の通りです。
医療用(体外診断用医薬品) | 研究用 |
---|---|
薬局でのみ販売可能 ⇒ネット販売(形式は未定)でも可能に 薬剤師の説明を受けないと買えない ”診断”が可能 ⇒自治体HPなどから陽性者登録ができる | Amazonなどで買える 薬剤師の説明は要らない ”診断”はできない |
さらに詳しく解説していきます。
- なぜ医療用抗原検査キットを販売解禁するのか
- 医療用キットでも起こりうる問題点
- 研究用キットで代用はできないのか
考えられる疑問点に可能な限り回答・解説したいと思います。
質問のある方はお問い合わせフォームにてご連絡をお願いします。
医療用抗原検査キット販売解禁の『なぜ』
抗原検査キットと聞けば、多くの国民は以下のように考えます。
- ああ、ドラッグストアに売ってあるやつだね。
- 研究用でしょ?
- Amazonでも売ってるね。
- 販売解禁?もう販売されてるじゃん?
- 今までと何が違うの?
これらの意見、ごもっともです。
新型コロナウイルス感染症が流行し始めてからまもなく3年となります。
『研究用』抗原検査キットを利用して陽性判定⇒医療機関を受診
このような流れで陽性の確定診断を受けた人が数え切れない人数います。
政府や自治体は『研究用抗原検査キットは精度や品質に問題がある可能性があるから使わないで!』とさんざん発信してきました。
しかし現在の日本国民の動向見ていると『研究用抗原検査キットが少なからず活躍していた』と言わざるを得ません。
完全に公的機関の出遅れですね。
さらには医療用の抗原検査キットであっても
『説明書通りの正しい検査をしないと誤判定の可能性が高まる』
『無症状の場合偽陰性の場合がある』
としており、これでは研究用抗原検査キットと何ら変わりありません。
ではなぜ今この時期に医療用の抗原検査キットを販売を解禁するのでしょうか。
考えられる答えは、医療ひっ迫が背景にあり、医療機関の負担を軽減するためです。
医療用の抗原検査キットを使う理由
医療用の抗原検査キットを使ったときに得られる最大のメリットは以下の通りです。
『研究用』の場合はセルフチェックしか行えず、結局は医療機関を受診して医師による確定診断を受けなければなりません。
特に現在(2022.8)は軽症者の受診が多く、通常の診療を圧迫しており救急車の受け入れや中等・重症患者の受け入れに支障をきたしています。
まとめると政府は次のことを言いたいのだと考えられます。
医療用抗原検査キットを一般人に浸透させ、軽症者は自分自身で検査・ケアをしてください。
咳や頭痛などの症状も、市販薬を利用して対応してください。
もっと早くから
- 医療用の抗原検査キットを一般にも浸透させる
- 研究用の抗原検査キットを政府がチェックし精度や品質を管理する
等を行っていれば、このような後手後手の状況にはならなかったと思いますが後の祭りです。
医療用抗原検査キットでも起こる問題
医療用の抗原検査キットを一般販売し始めたときにおこる問題点挙げます。
- 自己検査のため医療者による検査より精度が劣る
- 『無症状には無意味』が浸透しない
- 予め購入しストックしておく必要がある
- 陽性登録の手間がある
- PCR検査との差別化
- 研究用キットの在り方
私も医療者として新型コロナウイルス感染症患者にかかわったり、抗原検査キットについて調査・勉強もしていますが本当に問題点が多すぎます。
特に公的機関と一般人との『抗原検査』に対する認識の乖離があると個人的に思っていて、
『わざわざ薬局やインターネットを通して抗原検査キットを買ってストックしておくのか?』
という疑問もあります。
特に若者はわざわざ購入しておくというような行動は考えにくいです。
検査キット代は自己負担ですしね。
一般人が「医療用」の抗原検査キットを扱うリスク
『研究用』の抗原検査キットであればあくまでもセルフチェック、ウイルス感染ではなくウイルスの有無を調べるだけでしたので『一次スクリーニング』としてはある程度意義があったと筆者は考えてます。
しかし『医療用』の目的は『確定診断』を行うことであり、鼻腔ぬぐい検査や判定後の対応を自分自身で行うとなると話は少し違ってきます。
抗原検査キットの『精度』は『医療者』が検査を行うことでその精度が一定以上あることが確保されてきました。
鼻腔・鼻咽頭を綿棒でグリグリされたことがある人はわかると思いますが、痛みとストレスが伴います。
自分自身でこれを行えますか?
それこそが問題で、偽陰性の可能性が高まります。
また、抗原検査キット利用の前には『うがいや飲食を行わない』など検査精度を高めるための手順がありますが一般の方にこの注意が浸透しているかというとそうではないでしょう。
医療用のインターネット販売に関しては、薬剤師からの説明はどうするのかなど疑問点は残りますが症状のある状態で薬局に出向かなくていいのはメリットなのかなとは思いますが。
いずれにしても感染拡大防止の観点やネット販売であっても手元に届くまでの時間を考えると『ストック』しておく必要があり検査キットの説明も一般人にわかりやすく、注意深くしていかなければならないでしょう。
陽性の場合は自分自身で陽性者登録を行う必要がある
しかし、陽性登録の整備ができていない自治体もまだまだありますので詳しくはお住まいの自治体ホームページなどをご確認ください。
ご自身で陽性登録が行えない場合は、医療機関を受診してください。
特にご高齢の方やインターネットを利用できない方は医療機関を受診するほうが賢明と言えます。
研究用抗原検査キットでの代用はできないの?
この問題も必ず発生します。
ストックしているご家庭や企業もたくさんあることでしょう。
医療用と研究用の違いは検査機序は同じであっても、研究用はあくまでも『検体の中にウイルスがいるかどうか』の判定しかできません。
若干こじらせた言い方ですが、医療用ではないため『感染している』とは言えないのです。
研究用抗原検査キットの実績
研究用抗原検査キットの実績については、各種抗原検査キットの口コミやレビュー、SNSなどの反応を見れば明らかです。
良くも悪くも抗原検査キットとしての『実績』は一般人には浸透しているのではないでしょうか。
- 『研究用』で陽性反応が出て医療機関でも陽性が出た
- 『研究用』で陰性だったけど医療機関では陽性が出た
- 医療機関で陽性判定のあと、余ってた『研究用』で陰性だった
など、さまざまな声があります。
『研究用』抗原検査キットの一番の目的は『一次スクリーニング検査』です。
診断を目的としているのではなく、セルフチェックとして用い陽性判定が出れば医療機関を受診する指標にもなります。
医療用の代用はできない
医療用の抗原検査キットは今後『診断』することが目的となってきます。
(自治体によっては現状”セルフチェック目的で”としている所もあります。)
研究用の抗原検査キットの目的は『セルフチェック』です。
研究用の抗原検査キットで診断することはできないので、代用できるとは言えません。
また、医療用・研究用どちらの場合も『陽性』の判定は信頼性が高いですが『陰性』の判定は偽陰性となりうる可能性があることを十分理解しておかなければなりません。
『陰性』の判定が出た場合も、症状が続くようなら感染拡大防止に努め、医療機関を受診することも選択肢の1つとしてお考え下さい。
PCR検査キットじゃダメなの?
抗原検査よりもPCR検査のほうが陽性判定が出やすいのはご存じの方がほとんどだと思います。
PCR検査のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
無症状でも有効 少ないウイルス量でも有効 検査精度がとても高い 陰性証明書発行可能 | 検査の価格が高い 検査結果が出るまで時間がかかる ⇒自宅検査は郵送の手間・時間もある |
確定診断も行えますし、検査の精度や陰性証明書の発行などにも利用できるのでその点を考えると価格も高くなってしまうのは致し方無いです。
無症状の場合は必ずPCR検査(キット含む)
大事な事なので何度も繰り返しアナウンスします。
抗原検査キットは医療用・研究用どちらも無症状の場合はほとんど意味がない
無症状で抗原検査を行って陰性が出ても全く信頼性はありません。
医療用・研究用問わず無症状の場合の抗原検査は無意味と思っていただいてOKです。
PCR検査であれば、医療機関で行うもの・PCR検査キットでご自身で行うものどちらの場合も無症状者にも有効です。
自宅で行うPCR検査は検査機関に郵送する必要がありますので、到着までの時間がかかります。
結果が出るまでおよそ1日~3日と思っていただくとよいでしょう。
ご自宅で行えるPCR検査キットは『ICheck』がオススメです。
よくある質問【Q&A】
- 抗原検査とPCR検査はどちらがいいですか?
-
症状がある場合は抗原検査、無症状の場合はPCR検査が良いです。
- 濃厚接触者になりました。抗原検査キットを使って検査してもいいですか?
-
濃厚接触者であっても、症状がなければほとんど無意味です。
しかし、医療用抗原検査キットを用いて濃厚接触日から2日目、3日目に検査で陰性が出れば濃厚接触者の隔離機関は終わります。(2022年8月時点)
- 息苦しさがあります。医療用抗原検査キットを使って陽性でした。
このまま自宅療養が良いですか? -
息苦しさは呼吸不全症状につながります。
パルスオキシメーターをお持ちであれば測定し、94%以下の場合は医療機関を受診しましょう。
無理をして自宅療養に努める必要はありません。
- 抗原検査キットを自宅で使用しました。そのままゴミ箱に捨てていいですか?
-
ビニール袋などで二重に梱包し、数日経過後に燃えるゴミに捨てると良いです。
自治体のごみ捨てルールをご確認ください。
- スワブが怖くてうまく検査できません。どうしたらいいですか?
-
偽陰性を誘発する可能性があります。
お近くの病院か保健所に問い合わせをしてみてください。医療機関で検査することをオススメします。
あるいは、唾液で検査ができるPCR検査もご検討ください。
- 抗原検査を受けるのにお金はかかりますか?
-
医療機関であれば検査費用はかかりません。(公費)
陽性となった場合、診察料が発生する可能性があるので注意してください。
- 抗原検査で陰性証明書の発行はできますか?
-
医療用の抗原検査であれば、医療機関によっては出来る場所もあるかもしれません。
問い合わせてみてください。
研究用の抗原検査キットでは(結果を持参しても)できません。
- 海外渡航を予定しています。
病院で抗原検査をしたところ、陰性でした。
証明書を発行し、渡航できますか? -
2022年6月1日現在、抗原検査(定性)での検査証明は不可とされています。
厚生労働省の検査証明書についてのページを参照してください。
また、検査証明書が必要な場合はあらかじめ検査をうける医療機関にその旨をお伝えください。
- 自宅で『研究用』抗原検査キットを使って陽性の反応がでました。どうすればいいですか?
-
速やかに医療機関を受診してください。(以下の記事も参考にどうぞ。)
- 自宅で『医療用』抗原検査キットを使って陽性の反応がでました。どうすればいいですか?
-
お住いの自治体HPを確認して、陽性登録が可能なら行ってください。
感染拡大防止のため外出は控えましょう。
呼吸状態が悪い(SpO2が94%以下)、持病がある方は医療機関や保健所にご相談ください。
まとめと筆者からひとこと
医療用・研究用問わず、抗原検査キットやPCR検査キットを使ってすべての感染者数の把握をする意味も今後は考えていく必要があります。
2類感染症である以上、感染者の把握が求められることは現時点では当然です。
特に高齢者は新型コロナウイルス感染症にかかってしまうと、肺炎や呼吸器系の症状が出始め、悪化していく可能性が高いです。
あるいは、高齢者施設などでクラスターが起こるとコロナは治ってもそれによって誘発された様々な合併症が致命的な弊害をもたらすこともあります。
食事が食べれなくなったり、歩行ができなくなったりとQOLの低下を招きます。
小児や基礎疾患もちの方の重篤化・死亡事例もゼロではありません。
健康弱者の方、家族を守るためにも自分自身の健康管理(セルフチェック)や感染症対策を十分に行いましょう。
また、医療従事者だけでなくあらゆる場面でのコロナ弊害による負担軽減のためにも、毎日の手洗いうがいや換気など忘れずにお願いします。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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