最近、ドラマなどで放射線技師という言葉をよく耳にします。
診療放射線技師ってどんな職業なんですか?
この疑問に答えていきます。
健康診断などでレントゲン(X線)検査を受けたことがありますね。
怪我や病気になったとき、CT検査やMRI検査などを受けたことある人も多いでしょう。
その検査を行っているのが診療放射線技師です。私の本職でもあります。
放射線を使った検査は、私たちの身近に存在しています。
本記事では診療放射線技師の仕事内容やお給料などについて解説します。
- 診療放射線技師という職業について知りたい方
- 「放射線検査」に興味のある方
- 診療放射線技師を目指している方
診療放射線技師とは?
放射線と聞くと「怖いな」と感じてしまいますよね。
一般的に、放射線は人体に害のある電磁波(あるいは光)の一種ということが知られています。
害があるといっても、検査が原因で病気になったり、生命に関わるほどの量は通常使われません。
レントゲン技師と呼ばれることもあります。
胸のX線写真、胃の透視検査(バリウム検査)などは多くの人が検査を受けたことがあるでしょう。
最近では、診療放射線技師をテーマにした漫画、”ラジエーションハウス”の名前を聞いたことのある人もいると思います。
この漫画はドラマ化もされました。
詳しくは以下のサイトをご覧ください。
次に、放射線技師の仕事内容も見ていきましょう。
診療放射線技師の仕事内容
診療放射線技師は、文字通り放射線を扱い医師の診療の補助となる画像を撮影します。
- 医師が患者を診断するために必要な画像情報を提供する
- 放射線機器や被ばくの管理
医師や歯科医師の指示の下、X線検査やCT検査、その他の放射線を発生させる装置などを扱います。
放射線機器を扱い、画像を撮影するだけでなく、放射線を使った悪性腫瘍の治療なども行います。
また、放射線に関連することとして必ず「被ばく」の問題が出てきます。
診療に伴う被ばくについて検討・管理しているのも診療放射線技師です。
- 一般的なX線撮影
- CT装置を用いた検査
- MRI検査
- 超音波検査
- 核医学検査
- 放射線治療
- 放射線(被ばく)管理
業務内容はとても多くの種類がありますが、勤務先によって様々です。
放射線技師の仕事で取り扱う機械は、高額なものであったり、設備を作るために莫大な費用がかかるため、中小の病院では、放射線治療や核医学検査などは行っていません。
MRI検査、超音波検査は放射線を使わない検査です。
診療放射線技師の”画像診断部門”という特性上、診療放射線技師が行っている病院がほとんどです。
病院によっては、臨床検査技師や看護師がその検査を行っているところもあります。
超音波検査は、臨床検査技師が行っているところが多いようです。
診療放射線技師になるには?
診療放射線技師になるためには、他の医療職と同様に文部科学大臣の指定する大学や短大、都道府県知事指定の専門学校で養成課程を学び、卒業する必要があります。
国家試験受験資格を得るためには、定められた教育を受けなければなりません。
- 4年制大学
- 3年制短大
- 都道府県知事の指定する専門学校
医療系の職業はそのほとんどが4年制または3年制の大学や専門学校などです。
診療放射線技師国家試験の合格率
次に、国家試験の合格率を見てみましょう。
区分 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
---|---|---|---|
受験者数 | 3,202人 | 2,914人 | 2,953人 |
合格者数 | 2,537人 | 2,397人 | 2,184人 |
合格率 | 79,2% | 82,3% | 74,0% |
診療放射線技師国家試験:合格率(過去3年分)
診療放射線技師の国家試験合格率は、新卒であれば約95%もの合格率があります。
上記の合格率の表は既卒者+新卒者を合わせた合格率です。
全体でみると、他の医療職を同じぐらいである80%前後の合格率があるようです。
診療放射線技師に向いている人
診療放射線技師は、とても多くの放射線機器や画像診断機器(MRI、US等)を扱う職業です。
そのため、医学知識だけでなく機器工学系の知識も必要となります。
私は放射線検査の際、患者さんに安心して検査を受けていただけるように日常会話を交えながら検査の説明をするなどして、接しています。
- 医学、機器工学に興味がある人
- 思いやりのある人
- 放射線に興味がある人
- パソコン関係に強い人
診療放射線技師は、放射線機器を使用する際、ほとんどの場面でパソコンを使用します。
パソコンの操作については、学校の授業や実習でも扱うことが多いので、高校生まで使ったことがない人でも、ある程度は操作できるようになります。
しかし、得意であることに越したことはないので普段から使い慣れておくとよいでしょう。
診療放射線技師の給料ってどれくらい?
診療放射線技師の給料がどれぐらいなのか見てみましょう。
- 平均年齢:41.4歳
- 給料:37万2900円/月
- 賞与:101万2300円/年
- 平均年収:548万7100円
参照:(令和元年度の賃金構造基本統計調査(厚生労働省))
私はこれよりもまだまだ低いです・・(涙
年齢が上がれば今後上がっていくと思います・・(期待)
私の年収を公開しておりますこちらの記事も参考にどうぞ。
他の医療技術職に比べて、平均給与等は比較的高い水準にあります。
平均年齢が高いことが理由として考えられます。
勤務先によっても給与はさまざまですが、当直がある病院などであれば当直・夜勤手当が付くなど、年収にも差が出ます。
私の友人の放射線技師に話を聞くと、やはり当直や時間外勤務手当が多いと月の給料も満足いくぐらいもらえてるようです。
放射線技師の就職先
診療放射線技師の就職先はさまざまです。
以下の場所で働くことが多いですが、これ以外にも資格や知識を生かした職場で働いている人もいます。
- 大学病院や総合病院
- 民間の中小病院
- 健診センター
- 放射線科専門病院
- 医療機器メーカー
- 放射線被ばく等関連企業
病院での放射線検査を行う場合、診療放射線技師の存在は不可欠です。
医師のみでも放射線検査は行えますが、医師が診療・診断に重点をおくためにその業務は診療放射線技師に任せるのが一般的です。
クリニックや診療所では、簡易的な放射線装置があれば、診療放射線技師を雇わずに医師本人が検査を実施することで人件費の削減につながります。
放射線技師の将来性
昨今、医学や医療機器の進歩などにより医療は高度化しています。
医療にはさまざまな目的がありますが、病気を未然に防ぐ予防的な医療、早期発見と早期治療が求められます。
放射線検査は予防的な医療においてとても重要な役割を担ってます。
理学療法士や作業療法士といったリハビリ関係職と同様に、超高齢社会となる日本では需要が増えていくでしょう。
近年、診療放射線技師は女性の診療放射線技師の需要が増えてきています。
少し前までは男性が多い職業でした。
しかし、最近はピンクリボン運動などが各地で行われいることもあり、
- 超音波検査
- マンモグラフィー検査(乳房エックス線検査)
を行うため、女性の診療放射線技師が増えています。
ピンクリボン運動
乳がんに対する正しい知識や乳がん検診の早期受診の推進を目的として行われる世界規模のキャンペーン運動(あるいはシンボル)のこと。
現在、認定NPO法人であるJ.POSH(Japan.Pink-ribbon Of Smile and Happiness)が乳がん啓発を目的として活動しています。
近年ではおよそ10人に1人の割合で乳がんに罹患しており、女性におけるがん罹患率は第一位です。
乳がんは早期発見・早期治療ができれば約90%程度は完治する病気です。そのため、ピンクリボン運動により早期の検診が推進されています。
乳がん検診が推進される理由のひとつとして、デリケートな部分の検査のため検査をためらってしまうことが背景にあります。
女性のマンモグラフィー検査や乳房MRI検査においても、男性放射線技師に検査をされるのは抵抗がある女性が多いです。
これらを考慮したとき、女性の診療放射線技師の需要が今後も高いと推測されます。
まとめ
診療放射線技師は、医療技術職の中でも少し特殊な立ち位置にいますが、これからの医療に不可欠な存在です。
放射線を正しく扱うことは、さまざまな検査を通してがんの早期発見・早期治療につながります。
本記事で少しでも診療放射線技師について知っていただけたら幸いです。
診療放射線技師は、患者へ良質な医療を提供できるように、適切な画像を撮影できるように努力しているということを、覚えておいていただけると幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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